米国野球事情11−USC(南カリフォルニア大)訪問

 明日は滞米最終日。友永氏は早大野球部で、アイクさん同様、新人監督を務めたが、卒...

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 明日は滞米最終日。友永氏は早大野球部で、アイクさん同様、新人監督を務めたが、卒業後、USCの3年生に編入した。その苦学した想い出の庭を案内してもらうことにした。さらに、1A球団・ランチョククマンガ訪問予定を変更し、最後の夜を柏木君にも声を掛けて、友永氏ご家族を夕食会に招いて、皆さんに感謝の意を表することにした。LAでの一週間は、多忙な友永氏が様々な配慮をしてくれた御蔭で、私の訪米に大きな成果が生まれた。いくら感謝しても足りない。

USC(南カリフォルニア大)
USC(南カリフォルニア大)

 1880年に創設されたUSCは、オリンピックスタジアムの近隣の位置にあり、あたかも大学がそこに凝縮されたような態(てい)だった。学生数は約5万人、大学院生がそのうちの13%を占めている。友永氏に案内されて、アメフトの練習場と陸上グランドを左に見ながら歩を進めていくと、やがて「ROD DEDEAUX FIELD」(ロッド・デドー球場)の通用口が正面に見える。この先に10m×40m程の道が延びていて、観戦に訪れる人たちも通るのだろうと想像される。チケット売り場も敷設されていた。
 この道には驚嘆した。USCに貢献した監督・選手たちの等身大の像がずらりと並んでいる。真っ先に目に飛び込んで来たのは、1986年に引退するまで45年間、チームを率いたデドー氏である。彼が育てた選手たちがその後に続く。現役も含めてMLBで活躍したプレーヤー、例えばトム・シーバー、マーク・マグワイヤー、フレッド・リン、ランディ・ジョンソンなど錚々たる顔ぶれだ。ここでもまた、他の場所と同じように、名選手たちへのリスペクトが表われている。日米の大きな違いだ。日本の野球選手たちは、ファンから敬意を払われるに値しない人物なのだろうか、それともファンの心の中に敬意という感情が存在していないのだろうか。

USC(南カリフォルニア大)
USC(南カリフォルニア大)
DEDEAUX FIELD
USC(南カリフォルニア大)
DEDEAUX FIELD
USC(南カリフォルニア大)
3500人収容の観客席
USC(南カリフォルニア大)
USC(南カリフォルニア大)
ロッカールーム
USC(南カリフォルニア大)
室内練習場
USC(南カリフォルニア大)
インターネット中継室
USC(南カリフォルニア大)


 友永氏の配慮でチーム広報者が、施設案内に同行してくれた。スコアボードには“DEDEAUX FIELD”の文字が大きく浮かぶ。広さも十分だ。観客席も3500人収容、室内練習場もそれほど大きくはないが完備している。そこで再び驚いたのは、インターネット中継室だった。ホームゲームの全てがネット中継されるという。USCのOB・OGに、スピルバーグやジョージ・ルーカス夫人たちがいる。彼ら彼女らのDonation(寄付)によって建てられた施設なのだ。母校愛というか、母校への恩返しというか、そういう人たちの心につくづく感動した。(じつは、私は今年度の稲門祭実行委員長であり、早大OB・OGにいささか複雑な思いを抱いている。帰国の翌日に何度目かの実行委員会が控えている。)
 中継室の映像機器や他の大学を圧倒しており、その技術を学ぶにくる学生も多いそうだ。それがUSCのスポーツに良い影響を与えないわけがない。野球シーズンは2月〜6月の5ヶ月間で、ホーム&アウェイで約60試合も行う。これだけのゲーム数をこなせば、実力も向上するだろう。6月にはMLBのドラフトが実施され、高校を卒業する者と大学生2年生以上が対象選手となる。
 USC野球部には約40人の部員しかいないが、全員スカラシップを受けている。ドラフトで指名されて抜ける選手もいるので、9月の新学期に入部する新入生を加えて再びチームづくりが行われる。全米大学選手権(オマハで開催)で、デドー監督は11回優勝しているが、5連覇が含まれるのは凄い偉業だ。日米大学選手権の創設にも尽力し、江川卓氏も法政大卒業後、プロ入団騒動の際にここで世話になっている。
 フィールドに付帯している施設・クラブハウスも見せてもらえた。中では、オフシーズンに行われる指導者講習会の最中だった。ジュニアやハイスクールの指導者が10名ほど集って、パワーポイントを画面を見ながら、技術指導を学んでいた。現在、USCでは、トム・ハウス氏(前千葉ロッテ投手コーチ)が投手コーチである。
 クラブハウスに、トロフィー類がケースに陳列されているのは、日本でも珍しくないが、上述したMLBプレイヤーのひじょうに大きな写真(実物大かもしれない)が掲げられ、まるでphoto studioのようだった。それは、隣のロッカールームも同じだった。
 広報担当者によれば、日本の球界関係者でUSCを訪れた人は多いそうで、彼らはみな様々に嘆声を発したという。しかし、どうやら成田に到着した途端に現実に戻されて、その嘆声は新たな実行力にならないようだ。特に伝統ある大学の野球関係者が、率先して悪しき慣習を破って、USCのよい所を採用してほしいものだが。

USC TROJANS
「USC TROJANS」の像
USC TROJANS

 逆に、地方大学や目立たなかった大学が施設を充実させて、リーグ戦で活躍する例が最近は顕著である。プロ経験者を監督に迎えて伝統校に立ち向かうチームも増えてきた。伝統あるUSCは、地中海エーゲ文明の中心地となったトロイの勇士にちなむ「USC TROJANS」の像の下に、その気概と勤勉さをモチーフとして戦い続けている。「新旧併せた広い視野を持て」と暗示しているかのように感じられたが、帰り際に踏んだ煉瓦の石畳には、Donationの人たちの名が一人一人小さく彫られた。
 母校が自分に何を与えてくれたか、そして自分が母校に何を返せたかを改めて考えながら帰途についたが、それが米国野球事情を視る旅の結びになった。

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