久しぶりのブログである。今、私が関わっている活動の多くがきわめて流動的で、なかなか頃合いのキリがない。それで、ついついブログの記事を書き上げられないでいる。
2月は谷沢旗大会(2月5〜6日)を挟んで12球団のキャンプ地を巡回した。ちょうど東大が学年度末テスト期間を迎えて、野球部の練習も中断になったので、本職の取材に精を出したのである。しかし、東大部員たちの意欲は高く、試験中でも各自が自主的に練習メニューを考えて行なうのだが、「自主練習メニューに関して質問があればメールをよこせ」と言っておいたところ、何通も届く。
例えば、N部員は「阿部選手の分解写真を見るとインパクトの瞬間から左手がセンターの方向へ伸びている。これには理由がありますか?」
「左右の手の均衡が・・・」と答えを頭の中に準備をしておいて、念のために本人にじかに尋ねてみると、明確な返答を得られた。
阿部選手「左の握力52、右60とバランスが悪いので、意識して左手をインパクトからボール2つ分ほど押し込むように伸ばしている」
このような質問と応答が集まって2週間足らずで大学ノート一冊分にもなった。なにしろ、東大の部員には「気持ちで打て」「パッと来たら、パッとスオングしろ」というような二昔も前の指導が通じないのはもちろんのこと、「○○コースで球種が××には踏み込め」といった一昔前の指導も通用しない。なぜ踏み込むのか、踏み込んだ時の腰の回転をなぜそうするのか、腕のたたみ方をなぜそうするのか等々、すべて理詰めで、しかもそれが本人の身体感覚(=身体個性)にしっくりこないと納得させられない。弱小東大と陰口を叩かれているが、彼らは被指導者・学習者としてはまことに真摯であり、その分手強いのである。
ようやく期末テストが終わって、東大野球部合宿が3月9日から19日まで九州宮崎で行なわれ、私も帯同した。その3日目に未曾有の大震災が生じた。東北・関東に関わりの深い知人たちの何人かに連絡を入れた。幸い、大きな被害がなかったようだが、ただYBCの加藤顧問は痛手を蒙った。大学から10年以上も仙台で過ごして、東北には友人や教え子が多く、彼らに災いが及んだという。かつて住込でバイトをしていた家が津波に巻き込まれてその一家が亡くなったし、未だ行方が分からない者も複数いるそうだ。短い電話だったが、今までにない悲痛な声音だった。
私も合宿を終えて帰京したら・・と思っていたところ、柏市ホームタウン推進室の小貫室長から、「3月27日に柏駅東口ダブルデッキ上で『東北関東大震災街頭募金』を実施したい由の連絡があった。その日はYBCは田園調布大との練習試合を予定していたが、先方の理解も得られて、試合を中止し、チーム全員で臨むことができた。
当日は、柏市で活動するスポーツ団体(詳しくはHPに掲載)と女子高校生やライオンズクラブの方々が参加して、義援金を募ったのだが、市民もまたよく協力してくださり、約260万円の額になった。最初は、皆の呼びかけの声がいささか低かったので、あえて私は大声を張り上げた。翌日、見事に声が枯れてしまっていた。喉が弱いことを忘れていたのだが、後の祭りである。


YBCのクラブチーム「YBCフェニーズ」は、ただ硬式野球をし、試合で勝つことを目指すだけではない。それと同時に、柏あるいは千葉という地域社会集団の一員であり、日本という共同社会の一員である。それをスタッフ・選手がよく理解してくれていると、私は信じている。フェニックス──不死鳥の雛鳥たちという名称は、まさに大震災から再び甦ろうとする人たち、とくに子どもたちにふさわしいではないか。
それにしても、野球界の動きは残念な点が多い。Jリーグの3月公式戦はいち早く中止され、チャリティ試合には欧州からも続々とスタープレーヤーが駆けつけてきて、すぐにサーッと自分の仕事場=欧州のチームに戻って行く──サッカーファンの中学生でなくても「かっこいい!」と思うだろう。スポーツマンである前にマン(人間)であることを彼らはさりげなく示した。
こういう時の支援活動は難しい。名乗りあげて行なうと「売名行為だ」と非難されることが少なくない。逆に名前を隠して行なうと「有名人でたくさん稼いでいるくせに何もしない」と誤解され罵倒される。だから、私は個人で行なう時は匿名で、組織で行なう時は名乗り上げて行なうことにしている。
イチロー選手でも松井選手でもメジャーの契約に縛られていれば、身動きができないのかもしれないが、それでも義援金ぐらいは醵金(きょきん)した。takeするばかりでgiveすることがなければ、「野球人」ではなく「野球獣」であるにすぎない。私が今所属している野球組織は名球会・JABA(の下部組織)などだが、前者にはかなり失望している。後日、詳しく書く機会もあるだろうが、著名度が高く影響力のある組織なのだから、もう少し、心ある迅速な活動が可能だったはずだ。
東北関東大震災で試されているのは、被災者ではない。被災を免れ、失うものの少なかった私たちこそ試されている。
さて、今から新幹線に飛び乗ろう。ナゴヤドームのチャリティ試合で球場入口に立つ後輩選手たちに合流できるだろう。
▽YBC・大震災・支援活動 のキーワード
▽次の記事、前の記事
東大野球部コーチングあれこれ | ウォーリー与那嶺氏の「お別れの会」
▽YBC・大震災・支援活動 のレビューをブログに書く
ブログのネタに使う場合は、以下のリンクソースをブログに貼るだけでOKです。
▽YBC・大震災・支援活動 にトラックバックする
YBC・大震災・支援活動 のトラックバックURL:
http://www.yazawa2005.jp/mtcompo/mt-tb.cgi/110
ご無沙汰です。なかなかブログの更新がありませんでしたので、久しぶりのブログ、嬉しかったのですが、加藤先生のお話など切ない話しもあり本当に今回の震災の悲惨さを改めて感じる次第です。被災地の方々には谷沢さんがおっしゃられていますように不死鳥となって決して負けることなく頑張ってほしいです。それにつけてもYBCの気持ちが1つになった活動も素晴らしいですね。野球人として野球だけでなく心も世界一だと思います。
4月になりました。通常なら球春と嬉しさこの上ないですが、今年は被災されたかたのことを考えると胸が締め付けられる思いです。しかしYBC、今年も旋風を巻き起こしてください。今年できた会員証は素晴らしい出来栄えで宝物です。
今日のキーワード
当サイトのRSS
カテゴリー
月別アーカイブ
プロフィール

名前 谷沢健一 KenichiYazawa
生年月日 1947.9.22
出身地 千葉県
出身校 習志野高〜早稲田大学
在籍球団 中日 背番号 41
投打 左投左打
通算成績
安2062/本273/点969/率.302
1987年引退
新着記事
Copyright (C) 2005 All Rights Reserved 谷沢健一のニューアマチュアリズム